腹部に3~4ヶ所の“あな”をあけ、気腹(炭酸ガスを注入)して手術を行います。開腹手術と異なる点は、最初にお腹の中で血管の処理、リンパ節の郭清、固定された大腸を剥離する操作を行います。次に腹壁の小切開(4~5cm)創から病気のある腸を一旦体外に出し、腸管の切除、リンパ節郭清の追加、そして吻合(腸管をつなげて便が通るようにする)して再びおなかの中に戻します。術後の入院期間は約10日間で、退院後約2週間でスポーツや肉体労働が可能です。
大腸癌には早期の病変から他臓器に転移した高度進行例まであります。粘膜から生じた癌が、わずかにその下側に入り込んだ程度なら大腸内視鏡で切除可能です。しかしその深さが1mmを超えていたり、リンパ管や静脈に入り込む傾向がみられる場合は、今後再発や転移する可能性があるので、外科治療が検討されます。一方、がんが腸壁の外側の膜まで進展していたり、術前画像検査で多数のリンパ節転移が疑われる場合は従来の開腹手術が必要です。つまり早期癌の早い段階なら大腸内視鏡治療、進行癌でリンパ節などに多くの転移が疑われるなら開腹手術で、その中間なら腹腔鏡補助下結腸切除術の適応となります。病変の存在部位や患者様の全身状態、ご希望により治療方法は変更することもあります。以上は当院での適応ですが、施設によりやや異なることもあります。大腸癌治療ガイドラインでは施設の経験と実力により適応を検討することになりました。手術を受ける際は手術成績などよく相談することをお勧めします。まだこの手術方法を行っていない施設も多くあります。むろん癌以外の良性疾患にも適応があります。
① 手術創が小さい、痛みが少ない、見た目が良い。②入院期間が短い ③社会復帰が早い ④腸閉塞が少ない。
① 開腹手術に比べて手術時間が長い(当院では約45分長い)②高度な手術手技を要する ③高度に進行した癌は適応外
大腸手術に関して腹腔鏡補助下結腸切除術は有用な手術方法です。適応に関しては施設によりやや異なることがありますので、よく相談して決定することをお勧めします。