埼玉県川越市の医療法人財団献心会 川越胃腸病院は消化器科専門病院として「高水準の専門医療技術」と「患者様の立場に立った心温かい医療サービス」を以って医療活動を遂行し、「人間尊重の医療を行う病院」を目指しています。胃,胃がん,食道,十二指腸,胆嚢,胆石,膵臓,小腸,大腸,大腸ポリープ,鼠径ヘルニア,検査,内視鏡,腹部超音波,CT,CTC,川越

膵臓の疾患

急性膵炎

膵臓の役割は、血糖を調節するホルモン(①血糖を下げるインスリン、②血糖を上げるグルカゴン)や、食物の消化に欠かせない消化酵素(①炭水化物を分解するアミラーゼ、②タンパク質を分解するトリプシン、③脂肪を分解するリパーゼなどで、膵酵素と総称されています)を産生し分泌することです。膵酵素は膵臓の細胞内では不活化された状態に保たれていますが、何らかの原因で膵臓の細胞内で活性化されると、膵臓の細胞自体を消化(自己消化と言われています)することになり、それが引き金となって急性膵炎を発症します。
膵酵素の消化作用はかなり強力で、肉の塊も溶かしてしまう程です。ひとたび急性膵炎が発症すると、漏れ出した膵酵素が膵臓のみならず、周囲の組織や細胞を次々と溶かしていくため、手がつけられなくなる程、重症化する可能性があります。重症化した膵炎は、播種性血管内凝固症候群(DIC)という全身性の重篤な病態や、肝臓や腎臓など重要な臓器が障害を受ける多臓器不全(MOF)という病態を合併し、生命に危険が及こともあります。
急性膵炎の原因として、男性ではアルコ-ル(35~40%)、胆石(20%)、特発性、つまり原因が判明していないもの (20%)、女性では胆石(30%)、特発性(30%)、アルコ-ル(10%)とされています。アルコールは膵臓の細胞を直接、傷害することで急性膵炎を引きおこすと考えられています。胆石 や癌の場合は膵液や胆汁がせき止められるため、膵管を逆流してきた膵液や胆汁が膵臓を消化し、急性膵炎をおこすと考えられています。
急性膵炎の最初の症状として最も多いのは、“みぞおち”から背中にかけての激しい痛みで、約90%の患者さんに認められます。さらに、嘔気や嘔吐(約20%)、食思不振、発熱、腹部膨満感(それぞれ約5%)などが認められます。
急性膵炎の診断は、血液や尿検査で膵酵素や炎症反応のマ-カ-を測定したり、超音波検査やCT検査、MRI検査などで、実際に膵臓の状態を観察したりすることでなされます。
一般的な急性膵炎の治療としては、先ず膵臓を安静に保つために絶飲絶食です。その上で、膵酵素(主に蛋白分解酵素)による自己消化を阻止するために、蛋白分解酵素阻害薬を投与します。播種性血管内凝固症候群(DIC)や多臓器不全(MOF)などを合併し、重症化した場合は、救命のために集中治療室でかなり高度な医療が必要な場合もあります。また、膵壊死や膿瘍形成が見られる場合は緊急手術を行うこともあります。

慢性膵炎

慢性膵炎は,膵臓の細胞内で炎症が繰り返し起こる結果,正常な膵臓の細胞が破壊されていく疾患です。破壊された細胞は線維化を起こし,やがて膵臓全体が硬く萎縮していき,最終的には膵硬変といわれる状態になります。あたかも、慢性肝炎から病状が進行し、肝硬変へと至る過程と似ています。慢性膵炎で、膵臓の組織が破壊されると、血糖を調節するホルモンや消化酵素(膵酵素)が分泌されなくなり、糖尿病を発症したり、様々な消化不良が起こったりして全身に大きな影響を与えることになります。
慢性膵炎の原因で一番多いのはアルコ-ルです。特にアルコールの大量摂取が深く関与してことがわかっています。ここで注意して頂きたいのは、アルコ-ル性肝炎の場合、肝臓は再生能力が高いので、アルコ-ルを止めさえすれば、肝機能がある程度元に戻る事が期待できますが、膵炎の場合、膵臓は再生能力がほとんどありませんので、アルコ-ルを止めたからといって、元の状態に戻ることはほとんど期待できない、ということです。その他に、特発性と言われる原因不明のものがあります。また、胆石症から引き起こされるもの(軽症が多い)、家族性の膵石症によるものなどがありますが、それらが起こる頻度は低いとされています。
 慢性膵炎の症状で代表的なものは、急性膵炎と同様に腹痛です。急性膵炎の腹痛は激痛が多いのですが、慢性膵炎では持続的な鈍痛が多いとされています。また、多くの場合、背中の痛みを伴うのが特徴です。 耐え難い痛みのために、痛み止めを大量に飲んで薬物依存を起こしたり、痛みを忘れようとアルコールに走ってアルコール依存を起こし、ますます慢性膵炎が進行するという悪循環に陥り、なかなか社会復帰できない場合もあるようです。
 慢性膵炎の治療は、アルコ-ル性の場合は禁酒が絶対条件です。軽症の場合は膵酵素阻害剤が有効です。高度な慢性膵炎による激しい痛みをとるには、手術しか方法がない場合もあります。
 慢性膵炎の結果、糖尿病を発症することもあります。糖尿病の診断や治療は、現在、ガイドラインにより事細かく規定されており、ある程度の専門知識が必要とされますので、当院ではより専門性の高い病院へ紹介しております。また、最近、自己免疫異常による慢性膵炎(自己免疫性膵炎)など新たな概念による膵炎が注目されておりますが、特殊な病態ですので、この疾患が疑われる場合も大学病院などを紹介いたします。

膵臓癌

 肝臓は病気があってもなかなか自分では気づかないので、“沈黙の臓器”と表現されています。一方、膵臓はその働きや病気の成り立ちなどが未解明の部分も多く“暗黒の臓器”と表現されています。例えば膵臓癌は、早期発見が難しく、さらに、未だ確立した治療法がないため生存率が極めて低いことは一般の人にもよく認知されていると思います。
早期発見が難しい理由の一つとして、1)膵臓は後腹膜腔といわれる一番奥まった場所にある。2)胃癌や大腸癌など、普通の癌は塊として徐々に発育していくのが多いのに対し、膵臓癌は周囲の組織にしみこむようにして発育し進行も早いことなどから、視覚的な画像としてとらえることが難しい。3)消化器の外にあるので症状が出にくい点が挙げられます。
膵臓癌の症状として、よく“背中の痛み”が挙げられますが、周囲の神経組織に浸潤するなど、ある程度の進行癌にならないと出現しません。膵頭部や乳頭と名称される部位に癌ができると、腫瘍により胆汁の出口が閉塞されるため黄疸が出現しますが、その場合は比較的早期に発見される可能性があるとされています。
結局のところ普段から、血液検査や尿検査で膵酵素や腫瘍マ-カ-の動きを注視し、こまめに超音波検査等を行い、怪しければ早めにCT検査やMRI検査で確認するということしか今のところ早期発見の道はなさそうです。
治療は、切除が可能と判定されれば手術が適応になりますが、たとえ手術が行えたとしても、再発する可能性が極めて高くて、長期生存はなかなか困難です。最近、抗癌剤としてジェムザールやTS-1が使用されるようになりましたが、十分な効果が得られるまでには至っていないのが現状です。重粒子線治療といった放射線治療も試みられておりますが、当院には設備がございませんので、適応と思われる患者様はセカンドオピニオンもかねて、大学病院などしかるべき施設に紹介しております。

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