埼玉県川越市の医療法人財団献心会 川越胃腸病院は消化器科専門病院として「高水準の専門医療技術」と「患者様の立場に立った心温かい医療サービス」を以って医療活動を遂行し、「人間尊重の医療を行う病院」を目指しています。胃,胃がん,食道,十二指腸,胆嚢,胆石,膵臓,小腸,大腸,大腸ポリープ,鼠径ヘルニア,検査,内視鏡,腹部超音波,CT,CTC,川越

早期胃がん、早期大腸がんの新しい内視鏡治療

 内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は1990年代半ばに日本で開発された治療方法です。そして早期胃がんの標準的治療方法として2007年4月より保険収載されてから急速に普及しつつあり、当院においても保険適応前から施行しはじめ、現在もなお適応病変に対して随時施行しています。そして未だ保険適応にはなっていませんが、早期大腸がん症例においても順次施行している内視鏡治療法です。
 どのような早期胃がんがESDの適応になるのか?早期胃がんなら何でも適応になるのではありません。それはリンパ節転移の可能性がない病変、すなわち粘膜内に癌がとどまり、組織型が分化型癌であるとされています。以前は病変の大きさゆえに内視鏡切除ができなかった症例でも、ESDにて切除が可能となっています。ただ治療(切除)に時間がかかること、出血の危険性があること、穿孔(胃に穴があくこと)など欠点がありますが、完全かつ一括切除ができて、採れたものをよく調べられ、よくよくは手術を回避できる長所があります。また手術と違い、約1週間の入院後すぐに社会復帰が可能です。
 また大腸ではどのような病変がESDの適応になるのか?大腸の壁は胃に比べて薄く、穿孔をきたすと腹膜炎をおこしやすく、そのために緊急手術が必要となる可能性があります。大腸のESDは胃のESDに比べて出血は少ないものの、内視鏡の操作性の困難さやわずかな操作ミスで容易に穿孔をきたすなど難易度が高く、そのため未だ保険適応にはなっていませんが、当院では適応を選んで施行しています。適応症例は拡大内視鏡等で粘膜内にとどまっている癌、もしくは軽度粘膜下に及んでいる癌と予測され、通常の粘膜切除では一括切除できない症例、超大型病変、10mm以下のカルチノイド症例などです。
 ESDによる治療法は緒についたばかりで、処置道具の改良で今後ますます発展していくものと期待されています。ただ通常内視鏡操作に十分習熟し、各種処置具の使用方法を熟知し、確実な診断学のもとに適応病変を選定できる内視鏡専門医が常駐する施設でないと困難な治療法であると考えられます。当院では複数の日本消化器内視鏡学会指導医が中心となって慎重に施行しており、豊富な症例を積み重ねてきています。

大腸早期癌のESD症例(ESDを施行しない施設では腹腔鏡下大腸切除術となる)

(1)、(2)のごとく上行結腸に20mm大の粘膜内癌と考えられる陥凹性病変を認め、通常の粘膜切除では一括切除は困難と考えられESDを施行した。(3)に示すように粘膜下に特殊溶液(ムコアップ)を注入し、粘膜下を膨隆させて剥離できるようにした。(4)の病変の周囲及び粘膜下層を切開剥離し、(5)のように切除しえた。最終診断では粘膜内癌であり、ESDにて根治しえた。