埼玉県川越市の医療法人財団献心会 川越胃腸病院は消化器科専門病院として「高水準の専門医療技術」と「患者様の立場に立った心温かい医療サービス」を以って医療活動を遂行し、「人間尊重の医療を行う病院」を目指しています。胃,胃がん,食道,十二指腸,胆嚢,胆石,膵臓,小腸,大腸,大腸ポリープ,鼠径ヘルニア,検査,内視鏡,腹部超音波,CT,CTC,川越

第14回日本医療バランスト・スコアカード研究学会学術総会にて発表を行いました

2016年10月15日(土)に開催されました第14回日本医療バランスト・スコアカード研究学会学術総会(学術総会会長 日本大学医学部教授  根東義明先生)
総会テーマ:「情報化時代に新たなHBSC の展開をめざして」において、当院三宅憲治経営管理部長より研究発表を行いました。




【研究抄録】
演題名:組織成熟度・愛情度・人生幸福度の相関と、それらとBSCとの連動の研究(第1報)
施設名/所属:医療法人財団献心会川越胃腸病院1、経営管理室2
発表者:三宅 憲治2
共同研究者:望月 智行1、望月 章子1、須藤 秀一1 

【はじめに】
当院は2011年度から「BSC浸透度」調査を行っており、これらから2因子構造が得られている。そのうち第1因子を「動機付け因子」、第2因子を「相互理解因子」と命名した。これらBSC2因子を分析したところ、当院のBSCは職員の動機付けには有効であるものの、部署間・職種間の相互理解を深めるには課題があることが明らかになっている。これを解決するためにBSCのサマリーを展開し、2015年度に調査を行った。結果、導入前と比較して、相互理解因子が有意に上昇した。また、新たに調査を開始した「組織成熟度」「組織への愛情度」「人生幸福度」と「動機付け因子」には、正の相関関係があることが分かっている。

【目的】
当院は理念実践を掲げ、30年に渡って、これに真摯に取り組んできた。そのコンセプトは、職員が活き活きと働いてはじめて患者満足が実現されるというものであり、職員の幸福が病院発展の礎になるという経営哲学である。したがって、当院におけるBSCには、職員の幸福の実現という病院理念を追求するための戦略であることが求められる。これまで行ってきたBSC浸透度、組織成熟度、愛情度、人生幸福度の各調査に加え、幸福を定義する4つの因子「幸福の4因子」調査を行うことで、BSCの施策と職員の幸福をより密接に繋げていくことを目指す。今回は、その初回調査となる。

【方法】
従来から行っているBSC浸透度調査に加え、昨年から「組織成熟度」「組織愛情度」「人生幸福度」の調査を開始した。回答は7段階のリッカート尺度、調査は配布回収法、対象は業務委託先職員などを含む全職員。今回はこれに、「幸福の4因子」を加えて調査した。(n=76)

【結果】
2015年度調査と比して2016年度調査は、動機付け因子は5.88ポイントから5.92ポイントと上昇したものの、相互理解因子は5.47ポイントから5.42ポイントと低下が見られた。
組織成熟度と相関があったのは愛情度で、やや強い相関がみられた。(r=0.489,p<0.01)愛情度においては人生幸福度にも相関(r=.597,p<0.01)がみられ、中でも幸福の4因子のうち「感謝因子」との間にかなり強い相関がみられた。(r=.657,p<0.01)
愛情度がBSC2因子からどの程度、影響を受けるか重回帰分析を行ったところ、決定係数(R2)は0.544で、動機付け因子の標準化係数0.526(P<0.01)、相互理解因子の標準化係数0.262(P<0.05))が示された。
幸福の4因子のポイント平均間に、有意な差があった。(最大差1.13はP<.0.01、最小差0.28はP<0.05)

【考察】
相互理解因子は低下したが、動機付け因子のポイントが向上したことから、BSCの浸透度は向上しているものと推察される。
感謝因子と人生幸福度、組織愛情度との間にかなり強い相関がみられたことから、感謝の気持ちの強い集団は組織への愛情度も高く、かつ高い幸福感を得られていることが推察される。
重回帰分析から、組織や病院全体への職員の愛情度を高めるには動機付けが有効であることが推察される。
幸福の4因子間には、統計的に優位な差が見られた。これらの結果をBSC上の施策に反映させるとすれば、最小値の因子であった「前向きの因子」を向上させる施策、例えばBSCの成長の視点や業務プロセスの視点に関わる施策を打つこと等が考えられる。

【結論】
各調査には、それぞれ密接な関係性が見られた。今後、得られたデータを適宜分析して、BSC上の施策に結びつけ、次に報告できるようにしたい。
以上