埼玉県川越市の医療法人財団献心会 川越胃腸病院は消化器科専門病院として「高水準の専門医療技術」と「患者様の立場に立った心温かい医療サービス」を以って医療活動を遂行し、「人間尊重の医療を行う病院」を目指しています。胃,胃がん,食道,十二指腸,胆嚢,胆石,膵臓,小腸,大腸,大腸ポリープ,鼠径ヘルニア,検査,内視鏡,腹部超音波,CT,CTC,川越

日本医療バランスト・スコアカード研究学会第10回学術総会にて研究発表を行いました。

平成24年10月27日(土)に国立オリンピック記念青少年総合センターにおいて

日本医療バランスト・スコアカード研究学会第10回学術総会が開催され、

当院の須藤秀一常務理事が研究委員会の研究発表を行いました。

当日は、病院関係者の方々から、本研究に関し活発な質疑があり、関心の高さ

が窺われました。

【発表抄録】
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第10回日本バランスト・スコアカード研究学会学術総会
演題名:BSC活用の有用性に関する自治体病院と民間病院の比較調査分析
施設名/所属 :HBSC研究委員会
発表者:山本浩二、須藤秀一
共同研究者:望月智行、亀井美和子、竹内与志夫、吉田二美子、真野俊樹、
 塩田龍海、高橋憲二、佐藤英明

Ⅰ.【はじめに】
HBSC研究学会の研究委員会では、より多くの医療機関へのBSCの
導入促進をはかり、その成果を共有するための研究を進めている。
当研究委員会では過去5年に亘り、医療機関におけるBSCの導入・
運用・活用状況に関する調査を行い、継続して学術総会で研究発表を
行ってきた。本年度はこれまでの活動成果を踏まえ、BSCの活用に
よる人材育成と経営改善への有用性について自治体病院と民間病院の
比較研究を行った。
Ⅱ.【目的】
過去の自治体病院研究調査より導き出された仮説モデル「医療機関に
おいて、BSCの定着が人材育成につながり、職員満足が高まることで
経営改善がはかられ、収益性の向上に貢献する」ことについて、
本年度実施した全国の認定病院アンケート調査と比較して検討を行うこと
とした。
Ⅲ.【方法】
前回(2010年6月)は全国自治体病院にインターネット回答方式による
アンケート調査を行った。今回(2012年5月)はほぼ同様の内容で、
医療機能評価の認定病院を対象としたアンケート調査を実施した。
アンケートは病院経営実務に携わる異なる職種3名の方々に回答を依頼した。
Ⅳ.【結果と分析】
1)アンケート集計結果
今回のアンケート調査の全回答者数は408人(269認定病院、依頼した
認定病院の約15%)であった。全回答者のうち、民間病院勤務者193名を
研究対象データとした。一方、前回の自治体病院調査の全回答者787名の内、
認定病院勤務者の478名を民間病院データと比較する研究対象データとした。
各研究対象者を勤務病院のBSC導入の有無により、A:自治体BSC導入群
198名、B:自治体BSC未導入群280名、C:民間BSC導入群67名、
D:民間BSC未導入群126名の4群に分類した。また、職種別でのBSC導入
比較を同様に4群に分類した。
アンケート質問項目は、仮説モデルで導き出されたES(職員満足)、理念一致、
成果給与、病院誇り、業績向上、組織成熟度の6項目を比較対象項目とした。
2)自治体病院と民間病院の比較分析
研究対象の4群の人数のカイ二乗検定を行った結果、自治体病院と民間病院では
BSC導入有無による人数の偏りはなかった。次に6項目の比較対象項目において、
それぞれ4群の5段階評価の平均値の多重比較検定を行った。
その結果、組織成熟度を除く5項目において、民間BSC導入群は自治体BSC
導入群と比較して有意に高く(p<0.05)、民間BSC未導入群は自治体BSC
未導入群と比べて有意に高いことが示された(p<0.05)。
民間病院と自治体病院のそれぞれのBSC導入群は未導入群と比較して、
平均値は高いものの有意ではなかった。
また、職種別に同様の4群の比較を行った。事務職においては、先の結果と同様に、
組織成熟度を除く全ての項目でBSC導入群が未導入群より有意に高いことが示された
(p<0.05)。自治体事務職は逆に全項目でBSC導入群は未導入群と比較して、
平均値が低い傾向が示された。
民間事務職では業績向上と組織成熟度の項目で、BSC導入群が未導入群と
比べて有意に高いことが示された(p<0.05)。
一方、事務職以外の職種においては、ESと成果給与の項目でBSC導入群が
未導入群と比べて有意に高いことが示された(p<0.05)。
Ⅴ.【考察と結論】
本研究調査から、自治体病院は民間病院と比べ、BSC導入の有無に拘わらず
比較対象5項目で有意に低いことから人材育成や経営改善が遅れていることが
考えられる。民間病院においては、BSC導入群が業績向上や組織成熟度の項目で
有意に高いことから、BSC導入が経営改善につながっていることが示唆された。
また、事務職の分析において、自治体病院では民間病院とは逆に、BSC導入群が
全項目で未導入群より低い傾向にあることから、病院改善の要となる事務職が短期
ローテションで異動することにより、十分な人材育成ができず、悪循環に陥っている
と考えられ、今後、更に詳細な検証を行う必要がある。
                                 以 上